装画「百の影」

ファン・ジョンウン著、オ・ヨンア訳『百の影』(亜紀書房)の装画へ作品を提供しました。
装丁デザインはalbireoさんです。
日々描いているドローイングの中から2021年のこちらの絵をご指定いただきました。

〈「2000年代韓国文学における最も美しい小説」ついに邦訳 〉

「暴力あふれるこの世界で、好きでいられる(もの)なんてほんの少ししかない」
強大な力によってかけがえのない日常を奪われながらも、ひたむきに生きる2人のあたたかで切ない恋物語。

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大都会の中心に位置する築40余年の電子機器専門ビル群。
再開発による撤去の話が持ち上がり、ここで働く人たちは〈存在していないもの〉のように扱われる。

──弱き者たちに向かう巨大な暴力。
この場所を生活の基盤とするウンギョムジェを取り巻く環境はきびしくなっていく。

しかし、そんな中でも二人はささやかな喜びで、互いをあたたかく支えあう。
2人が歩く先にはどんな希望が待っているのか……。

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僕は鎖骨のくっきり浮き上がった人が好きです。
  そうなんですね。
好きです。
  鎖骨がですか?
ウンギョさんのことが。
  ……あたし、鎖骨とかぜんぜんくっきりしてないけど。
くっきりしてなくても好きなんですから、ほんとに好きなんですよ。

亜紀書房『〈ものがたりはやさし〉02 百の影』作品ページ